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利他の精神が生む、価値ある製品を世界へ。個を育て、チーム一丸でやり抜く。
スズキ株式会社
人財開発本部長 福田 尚
1998年、スズキ株式会社に入社。同年7月、直営販売代理店・株式会社スズキ自販宮城へ出向。2009年8月に帰任し、研修部門であるスズキ塾にて研修の企画・運営を担当。メーカーおよび販売会社全体における社員教育に携わる。2012年7月、四輪海外営業企画部 営業企画課に配属。海外市場向けのマーケティング・プロモーションなどを手がけ、2016年4月に課長へ。その後、四輪中南米課を経て2018年7月秘書部に異動。社長秘書としてグローバル企業の経営トップのそばに身を置き、高い視座を養う。在任中に経営体制の移行や社是・行動理念の再定義など、組織改革を経験。
2023年1月からは人事部長へ。約30年ぶりとなる人事制度改革の指揮を執り、2025年4月より現職。多様なキャリアを積み重ねてきたスズキを体現する一人として、スズキらしい人財育成に注力し、さらなる成長を実現する組織風土の醸成にも取り組む。
※所属や役職、記事内の内容は取材時点のものです。
世界200を超える国と地域で、暮らしを支える事業を展開。
スズキ株式会社は四輪車・二輪車・マリン(船外機)・電動車椅子といった多面的なモビリティを主力製品に、世界200以上の国と地域で事業を展開するグローバル企業です。
現在、軽自動車と登録車の新車販売台数では、4年連続で国内第2位を維持。インドでは約40%のトップシェアを獲得しています。また二輪市場も拡大を続けており、現地子会社の累計生産台数は1,000万台を突破しました。
ただ、私たちは単にモノを作る会社ではありません。人々の生活をより良くする、移動を通じて人生を豊かにする。そのために、生活に密着した価値ある商品・サービスを提供し続けることがスズキの使命だと考えています。
さらに近年では、サービスモビリティとエネルギー領域における新事業にも着手。中核事業への成長を見据え、新たな挑戦を始めています。
社是改定と行動理念を明確化し、価値観を改めて共有。

2021年の経営体制移行に伴い、大規模な組織改革を進めました。変化の激しい時代においても全員が立ち返る判断軸として、経営理念、社是と行動理念を明確化し、「2030年度に向けた成長戦略」を打ち出しました。
社是と行動理念の明確化、これは単なる言葉の見直しではありません。「スズキとは、何のために存在する会社なのか」「自分たちは何を大切にして働くのか」スズキが大切にしている価値観を社員が改めて考える非常に良い機会となりました。
スズキの存在意義や自身の役割を社員一人ひとりが認識できたことで、多くの社員が会社と自分の仕事に誇りや自信を持てるようになったと感じています。
社是の第一に掲げているのは、「お客様の立場になって価値ある製品を作ろう」というスズキの創業の精神です。目の前の課題に悩んだときや進む方向を迷ったときでも、ブレずに進むべき道を選択できるのは立ち返る原点があってこそでしょう。
改革の仕上げは人事制度の刷新。経営戦略に直結する仕組みへ。
2022年から2023年にかけて、社是と行動理念の再定義、そして社内への浸透を進めました。そして2024年には、2030年の中期経営計画達成に向けた組織改革の総仕上げとして、約30年ぶりとなる人事制度改定を実施しました。
私が人財開発本部に異動したのは2023年1月です。それまでは国内での自動車販売、研修の運営・企画、海外市場向けの企画営業、社長秘書と、入社以来多様な経験を重ねてきました。
人事部長という新たなキャリアを前にしたとき、「任命されたのは、この制度改革をやり遂げるためだ」と、強く感じたことを覚えています。
人事制度改革を最後に実施した理由は、経営戦略と結びついた人事制度を構築する必要があったからです。単なる処遇改善や評価制度の枠組みを置き換えるだけでは、まったく意味がないという考えでした。
当然それまでも人事制度は存在していましたが、社員にとって、とくに意識をするほどのものではなかったかもしれません。在籍年数とともに給与も役職もある程度自然と上がっていく、年功序列が色濃く残っていた制度。
評価の仕組みや処遇の基準を理解していなくても、大きな問題はなかったでしょう。そんな状況からの制度改定ですから、新たな人事制度の導入にあたっては社員の意識改革にも力を注ぎました。
人財育成は経営そのもの。「個の成長」を支える仕組みへ。

「2030年に向けた成長戦略」では、人財育成を経営の根幹と位置付けています。新たな人事制度は「個の成長」を促す仕組みに変わり、成長戦略に直結するものとなりました。
例えば、以前は業績目標を達成すると職能等級も同時に上がる仕組みでした。しかし、現在は業績評価と能力評価を切り離しています。
短期的な業績評価は賞与へ反映する一方で、昇給・昇等級・昇格は「個人の職務遂行能力の成長」で決まる。この仕組みに変えたことで、失敗を恐れず挑戦しやすい風土が生まれつつあります。
また、「職能資格制度」を新たに整備し、職務ごとに必要なスキルや能力を明確化しました。自分の現在地が分かる。次のステップに必要なことも分かる。だからこそ、成長に向けて努力しやすくなります。
ただ、制度だけで人は育ちません。最も大切なのは日々のコミュニケーションです。上司が部下と向き合い、対話を重ねる。一人ひとりの成長のタイミングを見極めながら、適切に背中を押していく。その積み重ねが人財育成の本質ではないでしょうか。
新卒もキャリア入社も関係ない。お客様のために、ひとつになれる組織。
私たちは今、キャリア採用にも力を入れています。実はスズキにおけるキャリア採用の歴史はまだ浅いのですが、キャリア入社だからといって不利になることはありません。
今では現場の社員はもちろん、現在の部長職や役員にもキャリア入社者がいます。実力と想いがあれば、新卒・キャリア入社関係なく活躍できる会社です。
そして、スズキには特徴的な文化があります。それは、「お客様のためには、これが必要だ」という誰かの声に賛同し、自然と団結することです。
個人プレーではなく、チーム一丸で実行に移していく。この文化こそ、スズキの強みであり、創業から絶えず続けてきたお客様のための製品開発を支える源泉といっても過言ではありません。チームで協力して前進しようとする人たちが集う会社だと思います。
過去のキャリア採用では、この結束して物事を成し遂げる企業文化がご自身の仕事のスタイルに合わず、入社後にギャップを感じてしまうケースもあったと感じています。
その課題も組織改革を経た今は克服しつつあります。スズキの使命や企業文化を私たちがしっかり言語化できるようになったことで、認識の相違が生まれにくくなったからでしょう。この変化には、組織改革に関わったひとりとして一定の成果と喜びを感じています。
利他の精神と「人間力」。世界中に感動を届けるために。

スズキの原点は、「誰かの役に立ちたい」という想いです。創業者は「母親の仕事を楽にしたい」という想いから、独力で製作した織機を贈りました。この利他の精神からスズキの歴史は始まり、今も企業文化として受け継がれています。
だからこそ採用においても、利他の精神と人間力を重視しています。チームのために動けるか。お客様のために本気になれるか。まっすぐに仕事へ向き合えるか。知識やスキルだけではなく、そうした姿勢を大切にしたいのです。
そして、もう一つ大切なことは、スズキを動かすオペレーティングシステム(OS)である社是・行動理念に共感できることです。スズキには世界中の人々の暮らしを支える使命があります。私たちと一緒に価値ある製品を創造し、世界中へ感動と喜びを届けていきましょう。